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子宮頸がん
子宮体がんとは

子宮がん

子宮がんとは

子宮がんは大きく分けて、子宮の入り口(頚部)に出来る頸癌、胎児が着床する部位である子宮内腔にできる子宮体がんに分けられます。その部分の細胞が異常増殖し通常の組織を破壊し、転移増殖し、命や、生殖の可能性を奪います。子宮頸がんは子宮がんのうち約7割程度を占めます。

子宮頸がんは、その原因や成立に関して明らかになっており、多くのがんの中で、唯一予防ができ、早期発見が可能ながんなのです。ごく初期で発見できれば、子宮を残すことも可能で、早期治療であれば治療成績も極めて良好です。

子宮頸がん

子宮頸がんとは

性交によるHPV(ヒトパピロマウィルス)感染が子宮頚部の特にSCJ(頚部内膜 細胞と膣部粘膜扁平上皮細胞が盛んに分裂し入れ替わる場所)の扁平細胞の核内に 感染し、数年から十数年かけて異常細胞増殖し、子宮や卵巣、骨盤腔内に拡がり、遠隔転移し、生命を脅かします。

子宮頸がんによる死亡数は平成23年度では2737人で、女性の悪性新生物による死亡のうち、1.9%を占めている。

以前は、発症のピークが40~50歳代でしたが、最近では、初交年齢の低年齢化から20~30歳台の若年層で増加し、罹患率、死亡率ともに30歳代前半から上昇し、30歳代後半がピークとなっています。子宮頚部にある腺組織にできるがんを頚部腺がんと呼び、増加傾向にあり、全体の 25%を占める。頸管の奥にできる為早期発見が困難で、広がりも確定しにくく、治療も子宮摘出が望ましい。腺がんに特化したエビデンスレベルの高い治療方針は示されていない。

子宮頸がん 原因

HPVは、性交経験のある人なら誰にでも感染しうる、ごくありふれたウィルスです。HPVには100種類以上のタイプが見つかっていますが、性器に感染するHPVとしては約30タイプが知られ、そのうち約15種類(16、18、31、33、35、39、45、 51、52、56、59、68、73、82型など)が子宮頸がん関連HPV(high risk HPV:高危険群ヒトパピロ―マウィルス)です。世界中で子宮頸がんから最も高頻度に検出されるのはHPV16型、2番目がHPV18型、尖圭コンジローマ(外陰部などにで きる良性のイボ)の原因となるHPV6/11型があります。

日本人女性の調査では、性交経験のある女性の約10%において、子宮頚部にhigh risk HPV感染が検出されています。特に、16型と18型が、日本人女性の子宮頸がんの約60%から見つかっています。たとえ、HPVに感染しても2年以内に90%の人は自分の免疫力でウィルスは排除されますが、10%の人は感染が長期間持続し、子宮頚部の細胞に前がん状態の異形成(正常な細胞が変化を起こし、異なった形態の細胞が出来る)となります。

ほとんどは、正常に戻りますが、自然治癒しない場合、軽度異形成から高度異形成となり、通常は、数年から十数年かけて子宮頸がんに進行すると言われています。

なので、1年~2年に1回検診を受ければ、前癌病変や早期がんで発見され、“予防や早期治療が可能ながん“なのです。 

子宮頸がん 症状 

前癌病変やがんの初期には、ほとんど自覚症状がありません。進行すると、   

・月経以外の出血(不正出血)
・性交時の出血
・茶褐色や黒褐色のおりものが増える
・月経量が増加し、月経がだらだら長引く
・下腹部痛や腰痛が長引く

などの症状が現れます。

子宮頸がん 予防

1)一次予防
① ライフスタイル

パートナー数の制限(多いほど罹患しやすい)日常的にコンドームを使用する(毎回私用でHPV感染を70%減少させる)その他リスクファクター:初交年齢が低い、喫煙、陰茎がんを持つ男性との性交渉、クラミジア感染などあり、注意が必要。

② ワクチン

HPV16/18に対する2価ワクチン(サーバリックス)、尖圭コンジロ-マ原因ウィルス6/11を加えた4価ワクチン(ガーダシル)がある。10~14歳の初交前女性の接種が望ましいが、45歳までの有効性が証明されている。

適切な接種で60~70%のHPV感染を予防することが可能だが、すでに感染しているHPVを排除し、子宮頸がんの前がん状態やがん細胞を治す効果は無い。しかし、HPV感染後の女性でも、再感染を予防する点において接種の意義があるとされている。

ワクチン接種後も1~2年に1回は子宮がん検診を受けることが必要。

2)二次予防

早期発見、早期治療で子宮を残し、癌死を防ぐ。 

① 細胞診

子宮頚部をこすり、細胞を取って診断する。子宮がん検診のがん発見や死亡率の低下などの有効性が示されている。2002年の検診では子宮癌の発見は2281人、発見率は0.06%だった。が、受診率は十数%~30%程度とされ、特に、罹患増加傾向のある20~30歳代の受診率の低下が問題となっている。 

② コルポスコピー:病変部位の特定に必要 
③ HPV testing

high risk HPV感染の有無で、組織診の必要性や、細胞診との併用で今後の観察期間が考慮される。

・前がん病変治療後の残存病変の有無の確認
・前がん病変の今後の進展リスク評価

16、18、31、33、35、45、52、58のいずれか陽性でリスク上昇。20歳代、30歳代子宮頸がん患者は18型が50~60%、16型が20~30%で若年の子宮頸がん撲滅には16、18型感染を防ぐことが必要です。

子宮頸がん 検査・診断法

① 細胞診

子宮頚部の表面を綿棒、へら、ブラシなどで擦って、細胞を 取り顕微鏡下で癌細胞を見つける検査各区市町村で、20歳から2年に一回無料または低価格で受けられる。

② コルポスコピー、組織診(punch biopsy)

子宮頚部を拡大鏡で見ながら、酢酸で加工し、変化する病変部位の組織片を取る検査。この検査時にはHPVの型を調べる検査が保険適応で検査可能。

③ HPV testing

high risk HPVの有無を調べる検査と、どのタイプのHPV感染があるかを調べる検査がある。high risk HPV検査は、細胞診でASC-US(意義不明な異型細胞病変)との結果時には、保険適応で検査可能。

どの検査も我慢できないほどの痛みは無く、②以外の検査は数分で終わる。症状が無い場合、検診は通常、自費となります。区市町村の検診では無料から2,000円、無料クーポンが20、25、30、35、40歳で配られる。
・クリニックでは3,500~6,000円程度
・HPV検査:12,000~15,000円 

子宮頸がんの臨床進行期分類(術前の診察や検査で決定される)
ステージ0期 ステージ0期は新分類では削除された。
ステージⅠ期 がんが子宮頚部に限局している。肉眼的に確認できるかでA、Bに分ける。子宮頚部円錐切除は治療ではなく臨床検査とする。
ステージⅡ期 がんが頚部を越えて広がっているが、まだ、骨盤壁または膣壁下1/3に達していない。
ステージⅢ期 がん浸潤が骨盤壁にまで達するまたは、膣壁浸潤が下1/3に達する。水腎症、無機能腎を伴う場合。
ステージⅣ期 がんが小骨盤を越えて広がるか、膀胱、直腸粘膜を侵す 

子宮頸がん 治療

上皮内がんやⅠA期では切除断端や脈管侵襲がなかった場合は、子宮頚部円錐切除術(子宮頚部を円錐状に切除する)や単純子宮全摘出術となる。がんの子宮頚部組織中への入り込みが強い場合、既に塊を形成している場合、がんが子宮周囲に広がり始めている場合には、子宮に加え、膣の一部、周辺組織、靭帯(骨盤と子宮の間にある、子宮を支える組織)、リンパ節を広範囲にわたって摘出する必要がある。卵巣も摘出することがある。

がんが、既に塊を形成していても、将来妊娠できるようにしたいという希望が強ければ、子宮頚部周囲を広範囲に切除して子宮体部を温存する手術(トラケレクトミー)を行う場合がある。

がんが既に骨盤内に拡がっている場合や多臓器にまで及んでいる場合は、放射線療法単独、または、同時化学療法を行う。多臓器に転移や再発の場合は抗がん剤治療を行うこともある。(断端部にがん遺残や再発があれば単純子宮全摘出術、場合により準広汎子宮全摘出術+骨盤リンパ節廓清、脈管侵襲があれば、広汎子宮全摘出術(骨盤神経温存)場合により放射線治療、ⅠB期以上の進行であれば、広汎子宮全摘出術や放射線治療、同時化学療法が、広がりに応じて行なわれる。)異形成や上皮内がんと診断され、今後、妊娠、出産の希望がある場合は子宮を残す治療として、子宮頚部のレーザー治療や円錐切除術を行う。

子宮頸がん 治療後の再発早期発見

再発は治療後2年以内に多い。日本婦人科腫瘍学会のガイドラインでは、1~3年目は1~3ヶ月ごと、4~5年目は6ヶ月ごと、6年目以降は1年ごとの経過観察を推奨している。頸がんでは骨盤内再発が多く、内診、直腸診は有効な手段、加えてリンパ節の触診も行う。

その他、細胞診、胸部x-p腫瘍マーカー,CT/MRI,核医学検査(骨シンチ、ガリウムシンチグラム)、PETなどが挙げられるが、その有用性に関しては世界的に、一定の評価は無い。

 

子宮体がん

子宮体がんとは

子宮の奥の、妊娠した時に胎児を育てる袋状の部分を子宮体部という。そこに発生するがんが、子宮体がんで、最近我が国の成人女性に増えてきているがんのひとつ。

そのほとんどが、子宮体部の内側にあり、卵巣から分泌される卵胞ホルモンの作用を受けて、増殖したり、剥がれて出血を起こしたりする子宮内膜という組織から発生し、子宮内膜がんとも呼ばれている。

子宮体がん 原因

子宮内膜の発育を促進する女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)が関与している。卵胞ホルモン値が高い状態が継続する場合では子宮内膜増殖症という前段階を経て子宮体がんが発生する。

子宮体がんの高リスク因子は、年齢50歳以上(または閉経後)、未婚、出産経験が無い、または妊娠・出産数が少ない、不妊、初婚・初妊年齢が高い、30歳以降の月経不順、エストロゲン単独服用歴、肥満、糖尿病の既往、高血圧の既往、近親者に乳がん、大腸がんの罹患者がいる、乳がんの治療でタモキシフェンを服用中または既往がある。

性成熟期での多嚢胞性卵巣症候群などを伴い、無排卵周期症となっている場合にも子宮体がんリスクが上昇するため、エストロゲン・プロゲスチン配合剤(低用量ピル)投与による予防も有効であり、挙児希望があれば、排卵誘発など不妊治療を行うことも予防効果が期待できる。

一方、卵胞ホルモン刺激と関連なく生じるタイプの子宮体がんは比較的高齢者に多くみられ、がん関連遺伝子の異常に伴って発生するとされる。

子宮体がん 症状

比較的初期のうちに不正出血があるのが特徴。月経以外の出血(不正出血)がある時や、閉経後や更年期に少量ずつ長く続く出血が有るときは、閉経周辺期のホルモンバランスの不安定による出血と紛らわしく、必ず、体がん検査を受けることが必要。

子宮体がん検診 検査方法

子宮の内部に細い棒状の器具を挿入し、細胞を採取して検査する子宮内膜細胞診がまずなされる検査。内膜細胞診は、擦過法と吸引法があるが、検出度は90%以上と言われている。しかし、報告によっては70~80%のものもあり、出血や帯下などの臨床症状が続く場合は、さらにサジ状の器具を挿入して組織を採取して検査、診断する。

超音波検査で子宮内膜の厚みを測定することで、増殖変化の有無を確認することも有用である。画像検査では、初期のがんを検出できない可能性がある。内膜細胞診を用いた体がん検診は死亡率減少効果の有無について判断する適切な根拠が無いが、内膜細胞診検診で症状が出る前に発見された検診発見体がんは、一般発見体がんに比べてⅠ期癌が多く、生存率も良好であるとの報告がある。

検査の間隔などに一定の推奨は無く、リスクの高い人は毎年、不正出血があれば、すぐに受けることが勧められる。

子宮体がん 進行期分類(術後)
Ⅰ期 子宮体部に限局
Ⅱ期 癌が子宮頸部間質に浸潤するが、子宮を超えていない。
Ⅲ期 癌が子宮外に広がるが、小骨盤腔を超えていないもの。または、所属リンパ節へ広がるもの。
Ⅳ期 癌が小骨盤腔を超えているか、明らかに膀胱や直腸粘膜を侵すもの、ならびに、あるいは遠隔転移があるもの。

子宮体がん 治療

主体は手術で、基本的に子宮、卵巣・卵管、リンパ節を摘出する。現在、腹腔鏡下手術が保険適応となっており、条件が満たせば、低侵襲な手術も可能。

腹腔鏡による術中に再発危険因子が見つかった場合や、診断時に病巣の完全摘出が困難な場合には、化学療法(抗がん剤)や放射線治療などが行われる若年婦人で子宮を温存し妊孕性を維持する希望がある場合にはホルモン剤を使って治療をすることも可能だが、一部のタイプの初期の子宮体がんに限られ、定期的な内膜掻爬や血栓症のリスク上昇など、事前に十分な説明が必要である。

Ⅰ、Ⅱ期で治療すれば80%以上が治癒することが期待できる。 

子宮体がん 治療後の経過観察

治療後3年以内の再発が多い。 日本婦人科腫瘍学会ガイドラインでは1~3年目は1~3ヶ月ごと、4~5年目は6ヶ月ごと、6年目以降は1年ごとの経過観察を推奨している。骨盤内再発が多く、内診、直腸診は有効な手段であり、加えて体表のリンパ節触診も行う。

その他、再発発見に役立つ検査項目として細胞診、胸部x-p検査、腫瘍マーカー、CT/MRI、PETなどが挙げられるが、世界的にも一定の有効な検査としての評価は得られていない。

 

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