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卵巣の病気
多嚢胞性卵巣症候群

多嚢胞性卵巣症候群

多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome:PCOS)

PCOSとは

生殖年齢の5~8%に発症し、無排卵による月経異常(無月経や月経不順)や不妊の主要な原因の一つ。

アンドロゲン(男性ホルモン)過剰、LH(黄体化ホルモン)高値、卵巣の多嚢胞性変化などのほか、肥満や男性化など多彩な症候を伴う。視床下部-下垂体-卵巣系、副腎系、糖代謝異常(インスリン抵抗性)が複雑に関与し、遺伝や環境など複合的な因子で発症すると考えられている。このため、臨床症状も多彩で、欧米と日本とも症状の傾向が異なるため、日本人の症状の傾向を踏まえた診断基準が作成されている。

多嚢胞性卵巣症候群 診断方法

日本産科婦人科学会による診断基準

次の3つの全てを満たす場合を多嚢胞性卵巣症候群とする。

① 月桂異常
② 多嚢胞卵巣
③ 血中男性ホルモン高値 または LH基礎値高値かつFSH基礎値正常

注意点

(1) 月桂異常は、無月経、希発月経、無排卵周期症のいずれかとする。

(2) 多嚢胞性卵巣は、超音波検査で両側卵巣に多数の小卵胞がみられ、少なくとも一方の卵巣で2~9mmの小卵胞が10コ以上存在するものとする。

(3) 内分泌検査は、排卵誘発剤や女性ホルモン薬を投与していない時期に、1cm以上の卵胞が存在しないことを確認の上で行う。また、月経または、消退出血から10日目までの時期は高LHの検出率が低いことに留意する。 

(4) 男性ホルモン高値は、テストステロン、遊離テストステロンまたはアンドロステンジオンのいずれかを用い、各測定系の正常範囲上限を超えるものとする。

(5) LH高値の判定は、スパック-Sによる測定の場合はLH≧7mIU/ml(正常女性の平均値+1×標準偏差)かつLH≧FSHとし、肥満例(BMI≧25)ではLH≧FSHのみでも可とする。

(6) Cushing症候群、副腎酵素異常(副腎性器症候群)、体重減少性無月経の回復期、卵巣のアンドロゲン産生腫瘍、莢膜細胞増殖症、高プロラクチン血症、単純肥満など本症候群と類似の病態を示すものを除外する。

多嚢胞性卵巣症候群 治療方法

PCOSは女性のライフステージにわたって様々な疾病を引き起こし、受診年齢や背景によって主訴や治療目的が異なる。

① 性成熟期以降の場合

肥満があれば減量など生活指導を行う性成熟期以降は、肥満の有無にかかわらず高インスリン血症や脂質代謝異常を伴いやすく、2型糖尿病、メタボリック症候群、高血圧、心血管疾患、脂肪肝、閉塞性睡眠時無呼吸症候群などのリスク因子であり、食事指導やライフスタイルの改善など予防医学的指導や管理が求められる。

インスリン抵抗性がある場合は、食事指導などライフスタイルの改善の後、メトホルミンやインスリン抵抗性改善薬などの投与も考慮する。体重の5~7%の減量で排卵率と妊娠率が改善するため、食事指導やライフスタイルの改善を優先または平行して行う。

② 挙児希望していない場合

※ 定期的な消退出血を起こさせる

無排卵によるプロゲステロン分泌(内膜増殖抑制作用)を伴わない恒常的なエストロゲン刺激(内膜増殖作用)が子宮内膜癌(子宮体がん)のリスクを高める。30歳以下の若年性子宮体癌の60%にPCOSが認められたとの報告があり、若年~性成熟期女性に対しては定期的(少なくとも3ヶ月ごと)に消退出血(黄体ホルモン作用後出血)を起こさせることが必要。アンドロゲン作用の無い(少ない)黄体ホルモンが処方される。

また、低用量経口避妊薬(OC)も処方される。アンドロゲン作用とインスリン感受性抑制作用が弱いDG(デソゲストレル)を含む第3世代〈マーベロン〉や超低量ピルでアンドロゲン作用の無いヤーズ配合錠などが推奨されている。それらのピルは、PCOSの症状でもあるニキビや多毛にも有効であるが半年後にも効果が無い場合は、スピロノラクトンも使用を考慮する。

肥満や糖尿病は子宮体癌の危険因子であるので、それらの改善にも努める。長期的には、加齢とともに月経周期が整順化し、PCOS患者の70~80%は40歳代で月経が整順になったとの報告がある。

③ 挙児希望する場合

肥満があれば減量することは基本である。

クエン酸クロミフェン(内服の排卵誘発剤)がまず処方される。PCOSでは50%の排卵率と10~20%の妊娠率が得られている。

単独で排卵しない場合

副腎からの男性ホルモン上昇の場合、副腎皮質ホルモンプロラクチン上昇時、ドパミン作動薬が併用されることがある。耐糖能異常やインスリン抵抗性が有る場合はメトホルミンが投与されることもある。

ゴナドトロピン療法

FSH-hCG療法(注射での排卵誘発)で、クロミフェンが無効の場合に行われる。多胎と卵巣過剰刺激症候群が発生しやすい。それらの発症を減少させるため、リコンビナントFSH(自己注射が保険適応)やピュアFSH製剤を使用し、低用量で緩徐に刺激する。患者の経済的・肉体的負担が大きい。 

腹腔鏡下卵巣多孔術(LOD;laparos4copic ovarian drilling)

電気メスやレーザーで卵巣表面に多数の穴を開ける腹腔鏡下手術。クロミフェン療法が無効の場合に行われる。ゴナドトロピン療法と同等の効果があり、多胎や卵巣過剰刺激症候群のリスクが少なく、受診回数が少なくて済むが、効果の持続が1〜2年程度が多いといわれている。 

生殖補助医療

排卵障害は原則として体外受精・胚移植の適応ではないが、クロミフェン無効例で、多胎を避けるために、卵巣多孔術施行後に、IVF-単一胚移植を行うこともある。

多嚢胞性卵巣症候群 費用

① 挙児希望が無い場合

月経不順や無月経には黄体ホルモンや卵胞ホルモン投与、低用量ピルを処方される場合もあり、検査は血液によるホルモン検査や、超音波検査が中心です。いずれも数千円以内です。

② 挙児希望が有る場合

内服薬でも注射でも基本は保険で受診できます。内服薬は1回500円程度です。注射も2000円/回までですが、数回通院が必要で、施設により、自費になることもあります。

投薬異常の不妊治療に関しては各専門施設に問い合わせて下さい。

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